先日お客様へのヒアリングの中で「データ活用が難しくて、データを出力するだけになってしまっている」という声を聴きました。ツールの使い方も分かるし、データを出力することもできる。しかし、出力したデータをどう扱っていいのかが分からない――。こういう悩みを持つ方は少なくないのではないでしょうか。
データ活用が難しいのは
「そもそもデータを集める目的が定まっていない」
↓
「目的が定まっていないのは仮説が立てられていないから」
↓
「仮説が立てられていないのは仮説を立てる目的/方法がよくわかっていないから」
ではないでしょうか。
そこで今回は折角集めたデータを無駄にしないためにも、「仮説を立てる」ことをテーマに書いていこうと思います。今回はその前半として、仮説を立てる目的について考えていきます。
以下の後半の記事では仮説を立てる手法をご紹介します。
以下の記事は別の角度からデータ活用が難しい原因について考察しております。
目次
- 仮説とは何か?
- 仮説の検証 ~原因発見のための仮説~
- 仮説の検証 ~課題発見のための仮説~
- まとめ
1. 仮説とは何か?
そもそも仮説とは何でしょう?
辞書を引くと「ある現象を合理的に説明するために、仮に立てる説」とあります。
これをビジネスの現場に適用すると、以下のような場面が考えられます。
たとえば「売上が落ちた」という結果があります。その理由として「雨続きで来店者数が少なかった」、「新規で獲得した顧客のリピートが少ない」、「競合他社の製品にシェアを奪われた」など、実際にどうかは別として可能性は数多考えられます。
この「結果に関係があるかはまだわからないけど、考えられる理由/原因」が仮説でしょう。
しかしこのままでは仮説と結果に本当に関係があるのか不透明です。
そこで最も有力と思われる原因が本当にそうか、データを集めて検証する必要があります。

2. 仮説の検証 ~原因発見のための仮説~
①の例で考えた仮説を検証するには、例えば以下のようなデータを確認する必要があります。
仮説(考えられる原因) | 参照すべきデータ例 |
雨続きで来店者数が少なかった | 天気と来店者数の関係 |
新規で獲得した顧客のリピートが少ない | 新規顧客のリピート率 |
競合他社の製品にシェアを奪われた |
購入理由の推移 他社製品の分析(ターゲット、特徴など) |
上記はあくまで一例でありもっと詳細に調べる必要もあるかとは思いますが、仮説と結果の関係を説明するために必要と思われるデータを計測・集積し、売上と連動しているか確認します。
そうして原因と結果の関係が可視化できたときに初めて、具体的な対策が考えられるのではないでしょうか。
例えば「雨続きで来店が少なかった」という仮説に対してデータによる裏付けが取れたのならば、「雨の日は割引やノベルティなどのキャンペーンを行って来店者数アップを試み、売り上げが落ちないようにする」といったことが考えられます。
これらを踏まえるとビジネスにおいて仮説を立てる目的は
「結果が生じた原因を明らかにすることで、有効な策を考えること」
だと言えそうです。

3. 仮説の検証 ~課題発見のための仮説~
しかし仮説を立てる目的はこれだけではなく、もうひとつあります。
それは隠れたニーズを具現化していくため、課題を発見するための仮説です。
例えば「新商品を販売したい」とします。ターゲットは今まであまり商品を購入がなかった20代の女性にしました。この段階で「新商品が売れるよう、まだ自社の製品を知らない層に働きかけるのがよいのではないか」という仮説があります。
次にターゲットにどのような商品なら購入してもらえるのか、ターゲットが好む商品を調査をすることにしました。これには「ターゲットが関心を持ってくれれば購買に結び付きやすいのではないか」という仮説があります。これを繰り返していくと「20代の女性は○○ということに関心があるので、△△をコンセプトとした商品がいいのではないか」というように課題がより具体性を持つと考えられます。
4. まとめ
①②で扱った仮説はは既にある結果に対する原因の説明を試みますが、③で扱った仮説は「こうなるだろう」というこれから起こるであろう結果の説明を試みます。
まとめると、ビジネスにおいて仮説を考える目的は以下のように言えるのではないでしょうか。
- すでにある課題の解決策を考えるため
- 隠れたニーズを具現化し、それに対するアプローチを考えるため
このように仮説を立てるプロセスを追ってみると、普段「仮説を立てよう!」と特別意識せずとも仮説を立てること自体は何気なく行っている方が少なくないのではないでしょうか。
また仮説の裏付けを取るためにデータを扱うというのは、効率よくデータを収集・計測・分析するためにどんなデータを扱うべきか仮説で大まかなあたりを付けるということです。そのため、仮説を立てることはデータ活用するための準備と言っても過言ではないでしょう。
今回は仮説を立てる目的について確認しました。
後半の記事では仮説を立てるためのヒントになる3つの手法についてご紹介いたします。